「生まれ変わってもまた、私と結婚してくれますか」の登場人物やその関係性(相関図)を紹介していきます!
「生まれ変わってもまた、私と結婚してくれますか」とは
舞台は戦前~現代の日本。主人公のひとり、伊吹薫が過去を回想する形で物語は進みます。長い、こじらせた両片思いを経て晴れて夫婦となった、寅之介と薫。その周りの家族とも言うべき伊吹造園の仲間との温かい日常と残酷な戦争を生き抜いた人々を描いた、深く優しい物語です。
「生まれ変わってもまた、私と結婚してくれますか」の相関図と登場人物
「生まれ変わってもまた、私と結婚してくれますか」は登場人物が多く、名前が混同したり関係性がわからなくなる方も多いのではないでしょうか。
「生まれ変わってもまた、私と結婚してくれますか」の登場人物を紹介していきます。
伊吹家
主人公の伊吹寅之介の家族である伊吹家の登場人物
伊吹 寅之介
4月10日生まれ。本作の主人公のひとり。伊吹造園の次男として生まれ、家業を継ぐこととなる。最大の特長は薫のパワフルなプロレス技にも耐えうる鋼の肉体の持ち主ということ。
幼い頃、いじめられている子犬を助けたが、自分も傷だらけになってしまったところ、別の奉公先に勤めていた薫に出会う。二人でその子犬のお父さん、お母さんになり、伊吹造園で一緒に飼うことになるが、幼い二人が再会するという約束は果たされなかった。
見た目は男らしい外見をしているが、その内面は妻の薫よりずっと乙女思考である。通称「純情ゴリラ」と呼ばれる程、ピュアな心の持ち主で、特に恋愛に関してはかなりの奥手。良くも悪くも純情で真っすぐな、不器用すぎる昭和の日本男児。26歳で長すぎた両片思いを実らせて、薫と結婚。夫婦としてその後の人生を歩むこととなる。
伊吹 薫(旧姓:大河内)
9月20日生まれ。本作のもうひとりの主人公。元々は別の奉公先に勤めていたが、子犬の件で帰りが遅くなったことを奉公先の主人に責められ、ひどい折檻を受ける。その際に左目は失明、左の聴力も失うこととなる。一度実家に帰るが、寅之介と交わした約束を守るべく、伊吹造園の奉公人となった。このときの「一緒に子犬を育てる、また会いに行く」という約束を果たせなかったことを老年になってからも気にしている。
おっとりとした優しそうな外観をしている。穏やかな敬語で話すことが多く、中身も外観そのものと言える一面も確かにあるのだが、実は脳筋でもある。悩んだり、考え込むことを不得手としており、考えるより先に手が出てしまう。人並み外れた攻撃力やプロ並みのプロレス技が繰り出されることもある。幼いころは母や祖母の世話から家事、畑仕事など全てを引き受け、苦労して育ってきた。サバイバル生活を送ってきたおかげか、豪快な性格の持ち主でもあり、割と何でもまずは素手でいく。30歳で最愛の人である、寅之介の妻となる。
伊吹 壱之介
伊吹造園の当主であり、寅之介の父。見た目は思わず逃げ出したくなるほどの強面だが、根っからの善人である。とにかく運が悪く、年中ケガばかりしている。
伊吹 龍子
壱之介の妻であり、寅之介の母。肝っ玉母さんと言うべき豪快な女性で、伊吹造園の姐さんとして皆に慕われている。
伊吹造園に勤める女性や近所の女子たちを集めて恋愛話に花を咲かせることもしばしば。通称は女塾。若者の恋愛成就者を多数輩出した実績がある。
伊吹 龍之介
伊吹造園の長男、10歳、年の離れた寅之介の兄。薫が奉公に入ったばかりの第一印象は「少し冷たい人」だったが、実は弟大好きのブラコン。薫を驚かせないように冷静な振りをしていただけだった。建築家になる夢を抱いていたが、寅之介の誕生日に特攻隊として飛び立ち、若くして亡くなる。
伊吹 光之介
寅之介と薫の息子。待ちに待った長男。薫の出産時は嵐の夜で産婆を呼ぶことができず、父親である寅之介自らの手で取り上げた。
伊吹 千歳
龍之介の妹で寅之介の姉。幼くして亡くなる。生きていれば薫と同じくらいの歳だったとのこと。
大河内家
伊吹薫(旧姓:大河内)の実家である大河内家の登場人物。
大河内 ミツル
薫の母。薫の見た目は母に似たらしく、薫によく似た顔立ちをしている。伊吹造園に奉公に出す際に、迎えに来たトヨ吉にいきなり殴りかかって力量を図る辺り、薫の脳筋なところも母譲りと思われる。
大河内 ツル
薫の祖母。得意な武器はなぎなたで、やはり脳筋思考の持ち主。薫のことを心配して、当初は伊吹造園に奉公に出すことを渋る。どうしても奉公に行くという薫を涙を堪えて送り出す。
大河内 ちづる
薫の妹。姉を慕う余りに一人で伊吹造園にやってきたこともある。祖母であるツルによく似た、通称阿修羅少女。シスコンと言っても過言でない程、姉のことが大好きで、それは年老いてからも変わらない。のちに小田トヨ吉の妻となる。
大河内 ハル
薫の姉で大河内家の長子。従軍看護婦として軍で働いている。航空部隊にいる弟の譲に忠告をしに訪ねていったこともある。
大河内 依鶴
薫の姉。剣術が得意で道場破りをした先の道場主と結婚する。
大河内みちる
薫の姉。ふわふわとした、浮世離れした感もある。病院で住み込みで働いている。
大河内 譲
薫の兄。戦時中は中尉として戦地に赴き、敵機を撃破するも自身もケガを負いながら無事に帰還した。帰還後は教官の任に着く。
伊吹造園の人々
主人公の伊吹寅之介が切り盛りする伊吹造園に勤める登場人物。
小田 トヨ吉
伊吹造園に勤める職人。寅之介の父の代から伊吹造園に勤めている。両親を早くに亡くし伊吹造園の人々の中で家族のように育つ。
年の割には幼く見え、おっとりとした顔立ちをしている。薫が伊吹造園に奉公に来る際に山奥の大内家まで迎えに来てくれた。
小田 千吉
伊吹造園の見習いで植物大好きオタク。小田トヨ吉の長男。
まだ幼いながら人生を悟ったような、澄み切った目をしている。時には、寅之介よりも大人びた発言をすることもある。見た目は父であるトヨ吉にそっくりだが、実は父よりモテる。
橘 ミサヲ
伊吹造園の庭師。幼いころに顔の右半分にやけどを負ってしまい、家族にさえ疎まれるようになってしまった為、逃げるように親戚である伊吹造園にやってきた。いつもは髪でやけどの跡を隠している。そのせいか消極的な性格である。好きな人に対しては基本奥手だが、接するときはつい照れ隠しのためかケンカ腰になってしまう。龍子の女塾の生徒のひとり。
伊達 勇左仁
伊吹造園の職人。ミサヲの想い人であり、伊左仁もミサヲのことを想っているようである。しかしなかなか素直になれない勇左仁は出征の際にミサヲから「帰りを待っていてもいいですか……?」という必死の告白に応えることなく、行ってしまう。
武蔵野 哲
伊吹造園の庭師。
その他
いぬ子
幼いころの二人が助けた子犬。二人で責任をもって育てた。いぬ子の子孫である、もも太郎は晩年の伊吹夫妻に寄り添っている。
豪田 昴
寅之介と薫の幼馴染。小説家。二人の長い長い両片思いや新婚生活にインスピレーションを受けて執筆した小説が受賞、小説家の仲間入りを果たす。二人から小説の新ネタを仕入れようとちょっかいをかけてくることも。
豪田 響子
昴の姉。父親を早くに亡くしたせいか、母親がネガティブなせいか、しっかり者。過酷な家庭環境ゆえに、幼くして一家の大黒柱にならざるを得なかった。
佐伯 毬乃
薫が初めて学校でできた友人。耳の聞こえない弟(ゆきお)がいて、左耳と目が使えなくとも堂々としている薫に尊敬の念を抱く。戦中は薫とともに、特攻隊の身辺の世話係となる。
小田 豊壱
トヨ吉とちづるの息子で医師。寅之介の主治医でもある。
「伊吹寅之介と伊吹薫」
長すぎる両片思いを経てやっと結ばれた二人だったが、夫婦になってからも相変わらずケンカしつつも仲睦まじく暮らしていた。
ある日のこと、5日も履き続けている靴下を脱ごうとしない寅之介に薫が必死の形相で何とかひっぺがそうと襲い掛かる。しかし寅之介は頑なに脱ごうとしない。それは薫が編んでくれた大切なものだからである。薫は何とか脱がし捨てようとするが、「いくらでも編んであげます」の言葉に寅之介も納得するのであった。
また結婚してもなかなか子供のできない薫に近所の婦人から心無い言葉を投げつけられたこともあった。そこに現れた寅之介は「俺の嫁を傷つけるんは許さんぞ!」と一喝。薫も「私の主人はこんな人なんです。素敵でしょう?」と満面の笑みで返す。この暫くあとに長男を授かることとなる。
どちらとも夫婦の仲の良さが伺い知れるエピソードである。
「伊吹壱之介と伊吹龍子」
寅之介の両親の仲の良さも負けてはいない。
慣れ染めもドラマチックなもので、盗人の疑いを掛けられ逃げる龍子をみた壱之介が一目惚れをし、その場でプロポーズする。龍子は即座に断るが、納得しない壱之介に対し、態度で示して欲しいという。貢物を持ってこいというつもりて言ったのだが、龍子の家の前で座り込みを続ける壱之介。実は龍子の弟・龍太郎が人の家を柿を盗もうとした際に叱り、その後におにぎりを食べされてくれた人物であった。来る日も来る日も座り続ける壱之介。ある雨の夜、龍子は「私は汚い」と告げる。「私を一人にしないって誓えるか」と問う龍子に即座に返す壱之介、こうしてプロポーズは受け入れられた。
今では龍子の方が惚れていると言っても過言ではない程である。
「伊吹龍之介と伊吹寅之介」
伊吹家の長男と次男であり。年が離れているせいもあり、龍之介は寅之介を溺愛している。(それは妹・千歳を置いて幼い龍之介が遊びに行ってしまい、追いかけた千歳が雨の中さ迷い肺炎によって亡くなったことへの懺悔も含まれるのだろう。)
その際に男同士の約束として「僕たちはお父さんとお母さんより長生きすること」を二人は約束する。
特攻兵として出撃する前夜、実家に戻り寅之介にだけ会う。その際にもうひとつの男同士の約束として「薫を守る」ことを約束する。
「伊吹壱之助と大河内薫」
本来ならば奉公先の主人と奉公人の関係にあたる。しかし壱之介はただの奉公人ではなく、家族として薫を受け入れた。薫が伊吹造園に来た時、同い年の桜の樹を植えて歓迎した。
「伊吹龍子と大河内薫」
奉公先の女将と奉公人の関係。だがそれ以上に龍子は薫を実の娘のようにかわいがっており、女学校にまで通わせている。また薫の着物も龍子手作りのもの。亡くなった自分の娘の面影を見ているのかもしれない。薫の実母・ミツルから「薫の母になってほしい」と言われた際にも、もちろんと即答で返していた。
「伊吹薫と大河内ちづる」
1男6女の兄弟の仲でも、下の二人である姉妹。ちずるは姉・薫のことが大好きで当初は再度の奉公に出ることにも反対して連れ戻そうとしたほどである。壱之介の深く優しい愛情に触れて、涙ながらに姉を残して実家に戻る。なおシスコンぶりは老いてなお健在である。
「伊吹壱之介と大河内ツル、ミツル」
本来ならば孫(娘)の奉公先の主人であり、主従関係にある。しかし伊吹造園一同が薫の実家に訪れた際に、実家の改装をしたり、龍子がツル、ミツル、ちづるの着物を作ったりと主従関係以上の強い結びつきがある。ツルが改まって礼の言葉を述べた際に、壱之介は「家族ですから力になりたいのは当然」と答えている。奉公先とその主人家を超えた絆を持って助け合って生きている人々である。
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